■ ましろのおと(1) (月刊マガジンコミックス)

ハロルド作石の「BECK」は、演奏シーンの迫力と臨場感がそれまでのバンド漫画とは桁違いで、紙の上に描かれた絵にすぎないのに、まるで音が鳴っているかのようだった。「赤ちゃんと僕」や「しゃにむにGO」などの独特の作風で熱狂的な支持者の多い羅川真里茂が描く「ましろのおと」の津軽三味線も同様で、撥を叩きつける音や絶え間なく流れていく音の粒が耳の中にこだまする。

青森県八戸市出身の羅川真里茂にとって、津軽三味線は「ずっと描きたかったテーマ」。少女漫画界を牽引してきた作家が少年漫画の世界に飛び込み、青森から東京へやってきた津軽三味線奏者・澤村雪(せつ)の“自らの音を探す旅”を熱いタッチで描く。

師でもあった祖父を亡くし、自分の弾くべき音を見失ってしまった雪は、津軽三味線を背負い、身ひとつで東京へ旅立つ。東京には自分が見失った音があるのではないか、祖父を失った悲しさから逃れるためにも、大都会へ足を踏み入れた雪だったが、騒音やネオンはあふれる都会にあるべくもなかった。

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