桜ふみの「AKSB~これがアキシブ系だ!~」レビュー

アキバ系+渋谷系の新音楽ジャンルを提案! 「AKSB ~これがアキシブ系だ!~」

おシャレなのにアキバ系。
“なのに”は失礼ですか、そうですか(笑)


渋谷系を代表するアーティストによって提供されたアニメ楽曲を集めた本作。アキバ系と渋谷系の融合によって生まれた「アキシブ系」という新ジャンルの提案としてリリースされました。小西康陽、かの香織、パール兄弟・・・クレジットを見るだけでも、とてもアニメ系CDとは思えない本作ですが、聴いてみるととんでもない! 間違いなくアニメ系CDそのもの!!


●渋谷系アーティストプロデュースのおシャレ系アニソンをズラリと収録

さっそく、いつものように楽曲紹介といきましょう。


月詠OPテーマ「Neko Mimi Mode」
まず1曲目は「え、これって渋谷系?」と思わず首を傾げてしまう曲「Neko Mimi Mode」から。


アキバ系なあなた(笑)にとっては聴いていて当然(?)のこの曲。何がどう「ネコミミ」なのか「フルフル・フルムーン」なのか・・・いまだにわかりにくいこの曲を手がけたのは、Dimitri From Paris。Dimitri From Parisというクレジットは、アニメ系にはなじみのない名前ですが、フレンチハウスの第一人者としてとても有名なDJ。セリフの脱力感を抜きにしてトラックを聴いていると、キーボードラインのとても気持ちいいダンスミュージック。実は「Neko Mimi Mode」はご本人作曲の名曲「Love Love Mode」のセルフパロディなので、興味がある方はそちらも聴いてみてはいかがでしょうか。


2曲目はこれぞ渋谷系、ROUND TABLEによる「ちょびっツ」のオープニングテーマ「Let Me Be With You」。


ちょびっツOPテーマ「Let Me Be With You」
渋谷系というイメージではなく、アニメのオープニング、という認識で聴いていたこの曲。トラックの聴き始めでは間違いなくアニソンだったのが、クレジットとライナーノーツに目を通すと、あら不思議。Ninoのポップなボーカルとベースラインを改めて聴き直すと「あー、渋谷系ですよね、これ」となるところが、すごくおもしろい感覚です。


3曲目は「ココロ図書館」から「ビーグル」。


ラブ・タンバリンズの宮川弾プロデュースによるストリングスワークスがとても清々しい曲です。2曲目のストリングスも宮川さんによるものなのですが、2曲とも「渋谷系です」といって差し出されると渋谷系なのに、曲はアニソンとして頭に入っている曲。懐かしいですね、ココロ図書館。もう6年前になるんですね。こうして改めて視点を変えて聴いてみると、また新鮮な感じがしてよいですね。


4曲目の「月詠」の挿入歌「波のトリコになるように」は、作曲が元SPANK HAPPYの菊地成孔。5曲目の「ちょびっツ」のイメージソング「人間だから」は、サウンドエンジニアにとってはあまりにも有名な冨田ラボ主宰、冨田恵一プロデュース。どちらもすばらしいトラックの上に乗るボーカルが、かたやアイドル、かたや声優。アキバ系と渋谷系の融合の形の表れとしても、楽曲そのものの持つ力としても、どちらもすばらしい名曲です。


6曲目はご存じ、元ピチカートファイブ、高浪敬太郎の手がける「かたことの恋」。


ちょびっツで使われたインストゥルメンタルです。お約束「ぱーぱぱー」コーラスとストリングスワークスが、これぞ渋谷系のお手本! といっても過言ではない曲です。この曲を聴いているとフリッパーズギターが聴きたくなります(笑)


「ケロロ軍曹」オリジナルサウンドケロック
7曲目は「ケロロ軍曹」の挿入歌「Dear Friend」。


ムーンライダース・鈴木慶一プロデュースのアルバム『「ケロロ軍曹」オリジナルサウンドケロック』で実に15年ぶりの活動再開となった、鈴木さえ子によるさわやかなポップチューン。TOMISIROによる、ネオアコ全開のサウンドトラックと合わせて「ケロロ軍曹」の世界を彩っているこのサウンドは、まさに渋谷系。


8曲目は橋本一子による「ラーゼフォン」の挿入歌「la,la maladie du sommeil」。


ジャズをベースとしたピアノ、シンセストリングスに乗って聴かせる桑島法子の幻想的なウィスパーボーカルがとても心地よいサウンド。


9曲目「瞳のトンネル」を手がけるのは渋谷系代表、COSA NOSTRAメンバーの桜井鉄太郎。


モーニング娘。のデビュー曲を手がけたことでも知られる桜井鉄太郎が手がける本曲は、アコースティックとエレクトリックの作り出すグルーヴサウンドに絡むコーラスワークがとても心地よい渋谷系ポップス。そして歌っているのはしっかりアキバ系、田中理恵。


ゼーガペインEDテーマ「リトルグッバイ」
そして10曲目は「ゼーガペイン」のエンディングテーマ「リトルグッバイ」。


手がけるのは前出ROUND TABLEとともに渋谷系として知られるROCKY CHACK。鳥肌の立つようなエレクトロニカな感覚に被さるストリングスが絶妙!


11曲目はパール兄弟「明日はたぶん大丈夫」。


バンドそのものはテクノユニットであるし、楽曲もちょっと渋谷系とは感覚の違うところにありますが、ボーカルのサエキけんぞうは、本作に収録されている曲に作詞として多くクレジットされていて、渋谷系にとても縁の深い存在。アコースティックピアノの音が渋谷系っぽい・・・かもしれません。


ラストエグザイルOPテーマ「Cloud Age Symphony」
12曲目はこれぞ渋谷系、コーネリアス・小山田圭吾とVELLUDOというバンドを組んでいた経歴を持つ、沖野俊太郎が手がける「ラストエグザイル」オープニングテーマ「Cloud Age Symphony」。エレクトリックなベースラインとリズム、脱力系コーラスがとてもすばらしい一曲。


13曲目は牧野由依の歌う「ゼーガペイン」挿入歌「CESTREE」。


楽曲を手がけるのは、かの有名な、かの香織。牧野由依の持つ独特なボーカルの持ち味を損なうことなく、幾重にも重ねたコーラスワークはさすがです。


14曲目は知る人ぞ知る橋本由香利プロデュースによる「月詠」のエンディングテーマ。


田村ゆかり、保志総一朗、PoppinSなど、かなりアキバ系寄りなアーティストにさまざまな曲を提供されていますが、曲はかなりネオアコ寄り。今回収録されている「Pressentiment triste」は、フランス語歌詞とウィスパーボイスが前述しましたSPANK HAPPYの元メンバーである河野伸のストリングスアレンジと絡み、とてもすばらしい楽曲に仕上がっています。


そして最後を飾るのが渋谷系の大代表・小西康陽のリミックスによる「帰ってきたケロッ!とマーチ」。


これはもう、語るものがありません(笑)。元の曲も、財津一郎の演技も、ゆうこりんのキャラも、そしてなにより小西康陽のリミックスのすべてが必聴です!!



●アキバ系のアナタも、これを聴けば自称渋谷系に!?

全体をアニメ系CDとして聴くことも、渋谷系CDとして聴くこともできるようになっている本作。アニメ作品に渋谷系アーティストが本格的に参加するようになった「ちょびっツ」から取り上げている点、ライナーノーツには作曲(もしくはプロデュース)を手がけたアーティストに関する解説がしっかりと書かれる点、全体としてアニメ系CDであることを崩さず、しっかりと渋谷系サウンドへの入門盤としても聴けるような作りが、企画としてとてもすばらしいと思います。


「アキシブ系」というジャンルがこれから確固たるものとして確立するかどうかはわかりませんが(笑)、このコンピレーションアルバムを聴いて、A-POPの裾野はまだまだ広いということを再認識しました。


日常を、今よりもほんのちょっとだけおシャレにしてみたいあなた! Angelic Prettyのメイド服+999.9の赤メガネにやられてジャケ買いしそうになってるあなた(笑)! 迷わず手にとって、聴いてみてはいかがでしょうか。もしかしたら自称渋谷系を名乗れるようになるかもしれませんよ?



AKSB ~これがアキシブ系だ!~
 1.Neko Mimi Mode/Dimitri From Paris sound produced by Dimitri From Paris(「月詠」OPテーマ)
 2.Let Me Be With You/ROUND TABLE featuring Nino sound produced by ROUND TABLE(「ちょびっツ」OPテーマ)
 3.ビーグル/山野裕子 sound produced by 宮川弾(「ココロ図書館」主題歌)
 4.波のトリコになるように/小川範子 sound produced by 菊地成孔(「月詠」挿入歌)
 5.人間だから/豊口めぐみ sound produced by 冨田恵一(「ちょびっツ」イメージソング)
 6.かたことの恋/高浪敬太郎&Yama-K sound produced by 高浪敬太郎(「ちょびっツ」挿入歌)
 7.Dear Friend/鈴木さえ子 with TOMISIRO sound produced by 鈴木さえ子(「ケロロ軍曹」挿入歌)
 8.la la maladie du sommeil/桑島法子 sound produced by 橋本一子(「ラーゼフォン」挿入歌)
 9.瞳のトンネル/田中理恵 sound produced by 桜井鉄太郎(「ちょびっツ」イメージソング)
10.リトルグッバイ/ROCKY CHACK sound produced by 保刈久明(「ゼーガペイン」EDテーマ)
11.明日はたぶん大丈夫/パール兄弟 sound produced by パール兄弟(「N・H・Kにようこそ!」挿入歌)
12.Cloud Age Symphony/OKINO,SHUNTARO sound produced by OKINO,SHUNTARO(「ラストエグザイル」OPテーマ)
13.CESTREE/牧野由衣 sound produced by かの香織(「ゼーガペイン」挿入歌)
14.Pressentiment triste/marianne Amplifier feat.yuka sound produced by 橋本由香利(「月詠」EDテーマ)
15.帰ってきたケロッ!とマーチ/財津一郎&小倉優子 remixed by 小西康陽 【新録】(「ケロロ軍曹」OPテーマ)
アーティストオムニバス
発売日2007年9月21日
Amazon価格2940円
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